匿名

日記

深夜

濡れそぼる街を包んだ秋雨が赤い息吐く少女を冷す

雨はしっとりと降り続いている。濡れ揃った街は秋というよりむしろ冬の空気を湛えていて、息を吸い込むとマスク越しにも肺に冷気が伝わる。恋愛感情はただのエゴだと気付いてしまった瞬間、私の恋は崩れたのだと思う。

 


爪切りのぱちんぱちんという音が冷ややかな部屋に響く真夜中

日付を跨ぐと空気は余計に冷えて、風呂上がりの火照った体がだんだんと熱を失っていく感覚がなんとなく心地よい。伸びた爪の先を見つめたら哀しさが込み上げた。

 


真夜中の部屋に充電で蓄えたエネルギーを吐き出す四角形

深夜の何もしたくない瞬間に体を動かすエネルギーは、さてどこから生み出せば良いのか。モチベーションとか言うものを考えるのでさえエネルギーを必要とするのである。冷たく硬い床にしゃがみ込みひたすら携帯の明るい画面をタップしていることしかできない0:23。