匿名

日記

2024.01 について

いまさら、1月の出来事を思い返して日記のようなものを書いてみようかなあと思う。というのも、今年の目標の1つは日記をつけることだから。そう言いつつ既に1ヶ月分くらい溜めてしまっているのだが……。

この1ヶ月間、アマプラで、『海賊と呼ばれた男』、『清須会議』、『千と千尋の神隠し』、『翔んで埼玉』、『Kingsman: The Secret Service』、映画館で、『NOPE』、リドリー・スコットの『ナポレオン』を観た。『NOPE』はIMAX上映で、とにかくものすごかった。画面がこちらに押し寄せてくる。飛行物体の迫力は映像だけでなくストーリーそれ自体からも滲んでいて、しかも魅力はそれだけでなく、見る・見られるということや使う・使われるということに対する意識や、人種問題や、映画業界についてのメタ的な描写も、自然と織り交ぜられていて、一度では到底味わいきれない良さがあった。それから『ナポレオン』は109シネマズプレミアムで鑑賞し、こちらは音響がものすごかった。砲兵将校のナポレオンを描いた作品だからこそ、お腹の底まで響き渡るような大砲の音を十分に味わうことのできるあの環境での鑑賞が、正解だったなあと思う。ストーリーの方を眺めると、至る所に彼の二あるいは多面性に関する描写が散りばめられていて、そうした断片を拾い集めるのが楽しかった。それから、煌びやかなドレスからボロボロの軍服まで、ディテールに凝った衣装を贅沢に味わえるのも良かった。ホアキンの、「英雄ナポレオン」ではなく「等身大の男」を体現する演技はとても彼らしくて、配役がすごいなあという感想。

読み終わった本は『黒書院の六兵衛』(上)(下)、『燃えよ剣』(上)(下)、三島由紀夫の短編集『女神』、『ガニメデの優しい巨人』、有吉佐和子の『開幕ベルは華やかに』、佐藤究の『Ank: a mirroring ape』、『サージウスの死神』、『QJKJQ』の10冊。試験期間なのによくもまあこんなに贅沢したなあと思うが、どれもこれも良かったので、これだけ味わえて良かったと言いたい。特に好きだったのは『開幕ベルは華やかに』で、美味しいものと”大人的な大人”が出てくる話が好きなんだろうなあと、しみじみ自分を捉え直すことができた。それから三島の『女神』は、表題作が特に好きで、若い女の美を細かく描くという試みはやはり良いものだなあと感じた。ここ最近、ずっと川端の『眠れる美女』も読みたいなあと思っているので、近々購入したい。ホーガン作品はやはりいつも地球人を肯定してくれるのが嬉しい。佐藤究作品はどれもこれも驚かされることばかりで、彼の作品は初めて読んだが、素直に好きだった。直木賞を受賞した作品や今後の作品も追っていきたい。

初めての経験として、コーヒーのカクテルを飲んだ。いつも飲んでる味なのにふわふわしてくるのが楽しかった。池袋のタカセという喫茶店にはまた行きたいなあと思う。そういえば、いろいろな日本酒を試した1ヶ月間でもあった。

それから、久々に鎌倉と江ノ島に行った。鎌倉駅で待ち合わせをする。待ち合わせ相手を見つけるときにはいつも、宝探しに成功したみたいな純粋な喜びと、ほんの少しの照れ臭さとがある。混んでいれば混んでいるほど嬉しい。人並みの間にちらちらと、自分と同じように照れ混じりの笑顔の相手を見つける瞬間の気持ちは、他の何にも代え難いんじゃないかと思う。1月とは思えない暖かな1日で、これ以上ない快晴で、相変わらず懐かしい江ノ電に乗っていると、家々の隙間から立ち上がるように見えてきた海はきらきら輝いていて、富士山もよく見えて、その瞬間を生きていた自分が祝福されているみたいだった。ふらふら歩き回った末に、お昼時を少し過ぎたころ、江ノ島の中でもかなり高いところに位置している魚釣亭という小料理屋さんでしらす丼を食べる。それからクリームあんみつも。あんみつってなんだっけ、と思いながら注文して、出てきたものを見て、うわあと思う。そうだ、これだ、という答え合わせの気持ち。いろんな味を口の中で楽しむ。傾いてきた陽をそれでも反射している海はずっと綺麗。何度も江ノ島には来たことがあるのに、洞窟に入るのは初めてだった。自分が足を踏み入れているその空間に、綿々と続く歴史があるのがなんとも濃醇な味わいで、各時代に生きた人々がいて、彼らもかつて私が今いるここに存在していたという事実に、自分のちっぽけな脳みそでは処理しきれないものを感じていた。ふらふらと半日かけて歩きながら、私は人と歩調を合わせるのが好きだ、と思った。傾ききった陽は、ちょうど山の陰に入ったところだった。冬はまだ肌寒い。