匿名

日記

パナソニックの電気シェーバー

蛍光灯の下で足の毛を剃っていた。パナソニックの電気シェーバーが唸る。もしも駅の階段で目の前にこんな足があったら胸が高鳴るだろうなあなどと考えていた。世間一般の女の子と同じように理想の自分を想像しながら自分磨きをしていたのだった。

ふと電車の中で私の尻を揉んだ何人もの男の顔を思い出しかけて、吐き気がした。

私は美しいものを見たときに触れたいとは思わない。私は穢れているからだ。私は必死に垢を擦って磨いて穢れを落とそうと努力しているというのになぜ私よりも穢れているお前らは何のためらいもなく私に触れることができる? 心の底から、その自信を分けて欲しいと思う。左足の毛を剃り終わったところで脛から膝までつうと撫でてみた。指には滑らかさが、足には何とも言い難い感覚が残る。

私が理想の女の子を目指して毛を剃り肌を整えまつげを伸ばし髪を巻き下着を着け制服を着ると、痴漢に遭っても「そんな女らしい格好をするからだ」と言われる。それなら電車内で携帯電話を使っていてそれを奪われた人は「携帯電話を人前で使うからだ」と言われるのだろうか?本当に意味がわからない。