匿名

日記

ことばのこと

言葉は空気に溶かすことができる。人間の体内にあるうちは溶けないけど、一度でも放出されるともう取り消すことはできない。ただ、小さな言葉や薄い言葉は特別な環境下でない場合簡単に溶けてしまう。

 

体内にあるうちは溶けないから、出しそびれた言葉の素は澱になって沈殿する。溜まっていく。溜まった澱を消化することはわたしにはとても難しい。だからどうしようもないほどに溜まってしまう前に放出する。書いたり話したりして。

 

録音したり書いたりすると言葉はしばらく凝固する。固体の言葉にはメリットもデメリットもある。凝固するとなかったことにするのは難しいし、誰かが勝手に切り出したり削ったりして元の形からかけ離れたものにしてしまうこともある。でも、一瞬で空気に溶けてしまうことの多い言葉をしばらく残せるから良い。

 

言葉を声にして放つとき、かたちを変えられる人がいる。どうせ声にした言葉はすぐに消えてしまうけど、その言葉を巧みに操って武器にすると傷をつけることができる。相手がひとでもものでも。その傷はちゃんと残るよ。傷をつければそこをより頑丈にすることもできるし(超回復?)、壊すこともできるし、自分の存在や言葉を残すこともできるし。凝固と違ってかなりそのままの姿で残すことができるから便利ではある。

 

わたしもそろそろ、言葉を効率良く使えるようになりたいんだけど。